トイレは現代人の生活に欠かせないものですが、それが始まったのは鎌倉時代だったことをご存知でしょうか。
鎌倉時代からトイレがどのように始まったのか。歴史を紐解いてみましょう。
目次
鎌倉時代以前のトイレ事情
海外に行くと、日本のトイレの技術がどれだけ高いのか思い知らせることが多いですが、そもそもトイレは鎌倉時代以前はどのようなものだったのかご存知でしょうか。
縄文時代から弥生時代の頃はその名の通り川で用を足しており、自分の好きな場所に杭を打って板を渡し、そこに用を足して自然の浄化作用に任せていたとされています。
飛鳥時代になると、川を住んでいる建物の中に引き込みその場所で用を足していたのですが、それがいわゆる「厠」の語源になっているとされています。
平安時代に入ってからは貴族の多くは「樋箱」と呼ばれるお丸のようなものに用を足して、それを専用の係が専用の場所に処理していたようです。
ただ、そんな風に特別に用を足していたのは貴族だけであり一般庶民はどうしていたのか気になるところですが、縄文時代などと変わらず自然の浄化に任せたのではないかと思われます。
二毛作の奨励がトイレの始まりになった?
トイレは、鎌倉時代になって画期的に飛躍することになります。
それに関係するのが二毛作の始まりです。
二毛作は鎌倉時代に米作りが本格化し進歩したきっかけとなっているのですが、その二毛作の際に草や木の腐葉土だけでなく人間や家畜の糞尿を発酵させ肥料として使うようになったのも鎌倉時代とされています。
その少し後の時代である室町時代に、日本を訪れた朝鮮人が「家畜や人間の糞尿を肥料として使用することで農作物の生産高が向上している」と手記に記したとされており、肥料として利用しやすくするために汲み取り式の便所が発明されています。
また、建物の書院造ができるようになってからトイレが住居の一部に組み込まれたのは、鎌倉時代の主役とも言える武士にとってもトイレの最中に襲われることがないという安全性も高かったようです。
トイレで紙を使用するようになるのは明治中期になってから?
今や用を足した後に紙で拭くのは当たり前のことですが、実際に紙を使うようになったのは明治中期ごろからとされています。
では、その前の時代には何で拭いていたのか気になるところです。
平安時代、貴族は紙で拭いていたという説もありますが、紙はとても貴重だったので手で拭いていたこともあったようですが、その代わり「手水」というところでしっかりと手を洗っていたので問題なかったとされています。
それ以外には、割りばしのような木片で拭いていたり縄を使用した、植物の葉っぱや石、砂などを利用したようで、そもそも用を足した後に拭くという観念は昭和初期までなかったという説もあります。
鎌倉時代においてもやはり紙は貴重であったため、植物の葉や木片などを利用して拭いていたのかもしれません。
ウォシュレットがないとトイレができないと思っている現代人にとっては、信じられない時代だったのかもしれませんね。